Inspection
継続検査

How to check
継続検査とは?

車の健康診断


保安基準に適合しているかを確認するため一定期間ごとに国土交通省が検査を行い また自動車の所有権を公証するために登録する制度をいい一般には車検と呼ばれています。

難しい文言がありますが早い話、我々が定期的に受けている健康診断みたいなものです。

当社では陸運支局に代わり自社で車検をすることが出来るので 陸運支局に車を持ち込む事は殆どありません。

マルチテスターでサイドスリップを測定

まずマルチテスターでサイドスリップ(車の直進時の横滑り量)を測定します。 測定数値はIN0.6ですが、これが基準値以上になると車検が通りません。

ブレーキの効き具合を測定

次に前後左右ブレーキとサイドブレーキの効き具合を測定します。 写真は前輪ブレーキの左右の測定値です。
左が449右が439になっています。このあと後輪のブレーキとサイドブレーキも測定し、その数値を元に車検合格かを計算します。

スピードメーターの測定

次にスピードメーターの測定をします。 テスターのローラーに車を乗せメーター読みで40kmまで、車を走行させてスピードメーターの表示とテスターの表示との差を測定します。写真では車のスピードメーター表示では40kmですが、テスター表示では38.9kmになっています。
この差が基準値を外れると車検が通りません。

ヘッドライトの測定

ここではヘッドライトテスターで光軸(ヘッドライトの上下左右の位置)と光度(ヘッドライトの明るさ)を測定します。光軸や光度はヘッドライトテスターで見ないと分からない事が多くヘッドライトテスターで見るとデジタル化され光がどういった状態になっているかが分かります。もちろん、この光軸と光度が基準値から外れていた場合も車検は通りません。

排気ガスの測定

ここでは排気ガステスターにて排気ガスの測定をします。写真はガソリン車なのでプローブという管をマフラーに挿入し、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)を測定します。ディーゼル車には別の測定器でディーゼルエンジンから排出される黒煙・粒子状物質を測定し、全て基準値を外れると車検が通りません。

下回り検査

ここでは自動車検査員が車の下回りの取付け締付け状態を点検ハンマーなどで確認します。
もちろん これ以外にも検査員が聴感や目視で保安基準に適合しているかを確認し、上記のテスターでの測定数値が1つでも基準値から外れると車検には合格しません。


民間車検工場では この作業は法定点検後に行いますので全ての
点検・整備・交換・調整が終わった後に完成検査を行います。
つまり全ての作業が終了しないと完成検査は出来ません。

前車検・後整備について

最近は車検を通すだけと言う安価な車検がありますが、これは写真上のテスターの測定値が、基準値内で車検証の記載されている内容に誤りがなく各税金や駐車違反金の完納・自賠責保険の更新そしてブレーキやウインカーなどの各球切がなく目視出来る点検で保安基準に問題がなければ車検に合格し継続検査が完了してしまうということです。

安価な車検を受けた場合この時点で車がユーザーに返って来る事が多いのです。もちろん国土交通省はその後ユーザーには法定点検を受ける事を推奨していますが、この法定点検を受けないこと自体に無車検のような明確な罰則がありません。そうなると車検が受かったのにわざわざ法定点検を受けない方がほとんどです。

そもそも この制度自体に矛盾を感じますが、これを前車検・後整備制度と言います。 簡単に説明すると車検を受けたあとに法定点検を受けましょうという制度です。 そしてこの制度が多くのユーザーに誤解を生んでいるのではないでしょうか?
つまりテスターのみの合格は次の点検までの安心を保障されたものではないと言う事です。 例えばブレーキの残量が僅かしか残っていなくてもテスターで測定した時点でブレーキが効いていれば合格してしまいます こうなると車検合格後すぐにブレーキトラブルが出ることもあります。もし?このような整備不良で事故を起こした場合ユーザーの保守管理責任が問われる事になりかねません そして当たり前ですがきちんと法定点検を受けていれば このようなトラブルは未然に防げるはずです。

当社では車の入庫時にまず受け入れの点検をします これにより大まかではありますがお客様の車の状態が把握出来ます。 そして次に法定点検に移ります。この法定点検は乗用車で実に50ヶ所以上の点検項目*1があり、もちろんその項目の中にはブレーキの残量の点検もあります そして残量によっては お客様に交換をご提案させて頂いています。
そして全ての点検・整備・交換・調整が終了し最後に写真上の完成検査に移ります。
この完成検査では自動車検査員が点検ハンマーを使用し各部の締め付け状態などもチェック*2します ここまでしなくても?と思うかもしれませんが逆に ここまですることによって次の点検時期までお客様が安心して車に乗れるようになるのです。

上記にも記載していますが あくまでもテスターは人の目で見えない数値をカバーするに過ぎないと思います。残量や消耗状態など大事な部分は人の目で見ないという思いがあります。
ですからユーザーの方には自分がどういった車検をしてもらっているかを把握しないと上記の様な様々なトラブルに巻き込まれるのではないでしょうか?

*1:法定点検 50ヶ所以上の点検項目一覧
*2:点検ハンマーを使用し各部の締め付け状態などもチェック時の動画
ボルトが緩んでいるとき、ハンマーで叩いたときの音の違い